\取得できます/
妊娠したスタッフに産休育休を与えることは義務です。
「産休育休実績がない職場だけど産休はとれる?期間はどのくらい?」
「産休育休がとれないと言われた時の対処法は?」
という疑問がある人に向けて、歯科衛生士の筆者が以下の内容をお伝えします。
\この記事でわかること/
- 産休育休実績のない歯科医院でも産休育休は取得できる
- 産休育休の期間と条件
- 産休育休を利用して歯科衛生士が貰えるお金
- 実績がなく産休育休が取れないと言われた時の対処法
目次
歯科衛生士の産休育休、実績のない職場でも取得できる!
産休育休実績のない歯科医院に勤めていても、産休育休は取得できます。
産休育休制度は歯科衛生士のみならず、働く全ての女性が妊娠出産した時に取得できる休暇のことです。
労働基準法により定められており、歯科医院側が産休育休を与えないことは違反になります。
前例がないと言われても、取得できることを院長に伝えてみましょう。
⇒実績がなく産休育休が取得できないと言われたら‥
産休育休制度がある歯科医院の割合はどのくらい?
歯科衛生士会の勤務実態調査報告書(令和2年)によると、常勤の歯科衛生士のうち約94%が勤務先の歯科医院に特別休暇があると答えています。
その中で、産休制度があると答えた割合は約69%、育休制度は約63%となっています。
産休育休制度が当たり前の社会で未だに7割以下というのは、歯科界はなかなか遅れているな‥という印象を受けました。
歯科衛生士が産休育休を取得するために必要なこと
いつから?産休育休の期間と取得の条件
産休の期間は産前休業と産後休業を合わせた期間になります。
\産休の期間/
産前休業:出産予定の6週間前(双子以上は14週前)
産後休業:出産後8週間(本人の希望と医師の許可があれば6週間)
産休は出産予定の妊婦と出産後の母親が対象なので、それ以外の条件はありません。(雇用形態を問わず取得可能)
育休の期間は産後休業が終わった翌日から子どもの年齢が1才になるまで(誕生日の前日)の期間になります。
延長を申し込めば子どもが2才になるまで育休を延長できます。
\育休の期間/
出産8週後から子どもの年齢が1才になるまで(延長で2才まで)
育休はパート・アルバイトでも取得ができます。
ただし週2日のみの勤務(労使協定による)や雇用期間が1年に満たない人は育休の対象外になります。⇒厚生労働省 育児休業の対象となる労働者
歯科衛生士が産休育休を利用して貰えるお金
\歯科衛生士がもらえる3つのお金/
出産育児一時金は社保・国保・歯科医師国保、どの保険に加入していてももらえます。
しかし出産手当金は加入している保険によって給付を受けられるかが変わってきます。
歯科医師国保の場合
出産手当金 | △都道府県により異なる |
出産育児一時金 | ◎もらえる |
育児休業給付金 | ○雇用保険に加入し1年以上働き、育休後に退職予定がない人 |
出産手当金がもらえるかは、加入している組合(都道府県単位)により異なり、貰えない場合があります。
⇒詳しくは全国歯科医師国民健康組合をご覧ください。
社保の場合
出産手当金 | ○健康保険の被保険者(雇用形態は問わず)で1年以上働き出産の為に休職している人 |
出産育児一時金 | ◎もらえる |
育児休業給付金 | ○雇用保険に加入し1年以上働き、育休後に退職予定がない人 |
国保の場合
出産手当金 | ×もらえない |
出産育児一時金 | ◎もらえる |
育児休業給付金 | ○雇用保険に加入し1年以上働き、育休後に退職予定がない人 |
実績がなく産休育休が取得できないと言われたら‥
院長に相談
産休育休の実績がなく、うちでは取れないと言われた。
実績や前例は関係なく、全ての女性が産休育休を取得できることを話そう。
「前例がないから‥」や「産休育休はうちでは取り入れてない」などと言われても、それは通用しません。
妊娠したから暗黙の了解で退職させられた‥となればマタハラになり訴えてもいい事例なのです。
今後も働きたいと思っていたのに、産休育休を取得できないとなった場合は以下の内容を参考に院長に相談をしてみてください。
\先生と話してみよう/
- 産休育休制度のある歯科医院は離職率が低いこと
- 産休育休制度があると、求人募集も集まりやすくなること
- 産休育休制度により医院側が負担するお金はないということ
- 自分がこの職場で長く働きたいという気持ち
上記の4つを踏まえて院長に相談するときの内容をご紹介します。
産休育休制度を利用した歯科衛生士と共に働くスタッフの離職率は下がります。
なぜかというと、産休育休を利用した人は「子育てに理解のある医院」だと感じ、その後も働きやすくなるからです。
そしてそれを見ていた他のスタッフも「この医院は妊娠出産しても女性が働きやすい職場だ」と感じ安心して働き続けることができます。
このような産休育休を医院が取り入れるとどのようなメリットがあるのかを、先生に伝えられるといいですね。
産休育休制度を取り入れると、求人募集の面でも歯科医院にとってメリットがあります。
そのメリットとは、「産休育休制度の実績あり」のような働く女性にプラスとなる内容は、自然と求職者の目にとまり応募に繋がるということです。
今や産休育休がとれて当たり前の社会ですから、前例ナシ実績ナシの歯科医院には歯科衛生士は集まりませんよね。
実際に求人を見ていても、福利厚生がしっかりしている医院に目が向きます。
最後にお金の面ですが、産休育休制度により発生する手当は歯科医院側が負担をするものではありません。
出産育児一時は健康組合保険から、育児休業一時金は雇用保険から、出産手当も社保のほうから出ます。
そのため、産休育休制度で歯科医院側が考えるのはその期間のスタッフ確保くらいなのです。
産休育休制度をあまり理解していない先生もいるかもしれませんから、1度上記の内容を踏まえて相談してみてはいかがですか?
④の今後も長く働きたいという気持ちも伝えると、前向きな返事が返ってくるかもしれません。
退職(労働基準監督署に通告)
相談をしても産休育休を取らせてもらえない‥
残念だけど働き続けるのはできないね。
「ワンマン経営者で相談すらできない」「相談しても耳を貸さなかった」という場合は残念ですが、働き続けることは困難でしょう。
福利厚生がしっかり整った歯科医院は山ほどありますから、退職をして産後落着いた時に復職をする方法があります。
しかしながら本来、産休育休を取らせずに暗黙の了解で退職へ追い込むことはマタハラであり違法です。
不当な扱いを受けた場合は労働基準監督署に通告ができますので覚えておきましょう。⇒【厚生労働省 「妊娠したから解雇は違法」です】
労働基準監督署に通告をすると、歯科医院側に指導や是正勧告がいきます。
参考資料として【doda 妊娠を理由に退職を迫られたら?覚えておくべき正しい対処法】をご覧ください。
今後も出産を考えている人は産休育休実績のある歯科医院を選ぼう
今後も妊娠出産を考えている人は、育児支援や産休育休実績のある歯科医院を復帰場所として選ぶことをオススメします。
そのような歯科医院の特徴として以下の内容があげられます。
\子育てに理解のある歯科医院の特徴/
- 大型の歯科医療法人
- スタッフ人数の多い歯科医院
- 女医や夫婦で歯科医師
医療法人やスタッフ人数が多い職場は産休育休の期間でもスタッフの補充に困らず、積極的に育児支援をしているケースがあります。
勤務先に女性歯科医師がいれば、相談したり子育てへの理解も得られやすいでしょう。
また歯科衛生士専門の転職サイトジョブメドレーでは、「託児所・保育支援あり」「時短勤務相談可」「育児支援あり」「復職支援」といった医院の特徴から求人検索をすることができます。
こういった転職サイトも職場選びの参考にしてみてくださいね。
《まとめ》歯科衛生士、産休育休実績のない職場でも産休育休は取得できる
\この記事のまとめ/
以上ここまで、歯科衛生士の産休育休事情についてお話をしました。
妊娠をした女性が産休育休をとることは当たり前なのに、現実は産休育休を取り入れていない歯科医院は未だにあります。
筆者が以前勤めた歯科医院も「産休育休制度はない。その期間の穴(スタッフ)をどう埋めるか?うーん難しいな~」と言葉を濁された経験があります。
そう言われてしまうと、こちらは「こんなところでは働き続けられない」と感じてしまうものです。
でも実際はきちんと制度を取り入れ、実績がある歯科医院もたくさんあります。
院長に相談をしても改善されなかった場合は、そのような福利厚生が整った歯科医院に転職(復職)をするのが1番かもしれません。
歯科衛生士の妊娠報告と退職時期はいつがいい?妊娠中の勤務における注意点